夕暮れ時、ウラジオストクの街から少し外れの海岸通りまで散歩した。海沿いの坂を登っていくと、その下に人気のない古びた海水浴場が見える。色あせたビーチパラソルの下でスナック菓子を売るおじいさんがぼんやりと座って海を眺めている。旧ソビエト時代のものなのだろうか、海辺に突き出した客船の形をしたレストランが、砂浜と海のあいだに留まっている。まるで、今まさに進水する直前で座礁してしまったかのように。短い夏が終わった今、また長い冬の日々が過ぎるまでこのビーチには静けさがともるのだろう。小さく繰り返すさざ波の音と共に。