2009年に滞在したロンドンのスクワットガーデン、キューエコビレッジ(Kew Eco village)のドキュメンタリー「Grasp The Nettle (困難に立ち向かう)」が去年完成して、公開されていたのを最近知った。そこに滞在した時に出会ったアナキストや活動家たちはボヘミアンの風貌も併せ持っていた素敵な人々だった。
空き地をスクワットし、テントを張り、賃労働と消費のサイクルとは別の暮らしを作ることが彼らの抵抗の方法で、それはイギリス資本主義勃興期に資本家や貴族による土地の私有化と闘ったDiggersから綿々く反資本主義の民衆史の流れを汲んでいる。
彼らのポートレイトをいつか撮りたいと思ってフィルムでの撮影を始めたけれど、すでにこのエコビレッジは存在していない。けれども、また第2、第3のエコビレッジはヨーロッパ各地に生まれていると思う。ヨーロッパへ再び行きたいと思う理由は、荘厳な石造りの建築でも西洋文化へのあこがれでもなく、産業資本主義社会の起源のようなこの場所で、再び大地と自分たちの生を直接的につなげようとする人々の試みが存在しているからだ。
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